川崎市中原区元住吉オズ通り商店街の税理士、トノヤマです。
お客様からご質問をいただいた「退職金の損金算入時期」についてまとめたいと思います。
※損金・・・簡単にいうと、税金の計算上法人の所得を減らすことができる金額を言います。
会計でいうところの「費用」とニアイコールです。
Contents
役員退職金の損金算入時期
まずは、役員の損金算入時期です。
ちなみに常識はずれに高額でないことが前提です。
(そこの論点についてはあらためて記事にします。)
原則
原則的には・・・
役員退職金についての株主総会の決議等があった日の事業年度
とされています。
株主総会の決議等が前提というところがポイントです。(会社法361)
実務的には議事録をちゃ~んと保存しておきましょう。
この場合、決算時に未払いであっても損金にすることができます。
<図解>
取締役会設置会社の場合にも原則は株主総会の決議です。
特例
例外的に・・・
役員退職金を実際に支払って、経理上も損金として処理した日の事業年度
も認められています。(法基通9-2-8)
この場合、株主総会の決議前であっても損金にすることができますよ。
ただし、期末に未払計上してしまうと損金算入できませんので要注意です!!
<図解>
取締役会がある場合、取締役会で内容を決議し、それに基づいて損金経理を行います。
従業員退職金の損金算入時期
続いて、従業員の場合はどうでしょうか。
従業員について法人税法上の規定はありません。
つまり、通常の損金算入要件と同じで債務確定主義にもとづき行います。
債務確定主義とは
法人税法基本通達2-2-12で、以下の要件すべてに該当した場合を債務の確定としています。
(1)当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。
(2)当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。
これだけだと、むむ・・・むずかしい・・・、てかようわからんという方もいらっしゃるかと。
退職金に当てはめると
要するに次のいずれかを選択できるということです。
(1)従業員が退職した日
(2)従業員に実際に退職金の支給がなされた日
(3)会社の就業規則に退職金の支払日が明記されている場合にはその支払日
ということは、退職した日が期末前であれば、実際に支給していなくても
(1)を適用して当期の損金にできますね。
また、退職した日が期末前であっても来期の損金にしたければ
(2)を適用するため期末時点で払わなければOKです。
参考書籍
問答式になっているので、自社に合ったケースを探しやすいと思います。
まとめ
以上役員と従業員とで同じ退職金でも損金にできる時期が違うということを理解していただければ幸いです。
退職金は金額も大きくなることも多いので、税務調査で否認されちゃったなんてことがないよう要注意なトコですからね。