3月も後半となり、決算を迎える会社も多いことと思います。
うれしい悲鳴ではありますが、予想以上に利益が出てしまいあわてて節税対策はないか探しているケースも。
今回は決算対策として王道ではありますが、実は意外と知らない方も多い経営セーフティ共済(倒産防止共済)についてになります。
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経営セーフティ共済(倒産防止共済)とは
そもそも経営セーフティ共済は、取引先が倒産したことによる連鎖倒産を防止する目的で独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営している制度です。
正式名称を「中小企業倒産防止制度」といいます。
取引先が急に倒産してしまった場合、入金の遅延や回収ができなくなることにより自社の資金繰りに影響を及ぼしますが、
そのようなときに共済金を積み立てておけば、最大積立金額の10倍まで無担保で融資を受けることができます。
最大の特徴は掛金が全額損金に参入されること
この掛金は掛け捨てではなく積み立てです。
にもかかわらず全額を払った期の損金に算入することができます。
掛金は月額5,000円から200,000円まで1,000円単位で選ぶことができます。
年額にすると60,000円から2,400,000円までとなります。
加入年度は月払いと年払いを併用することで損金額が最大に
この掛金なのですが、租税特別措置法において払った事業年度の損金の額に算入する旨が明記されています。
そのため、加入した事業年度限定でこんなことができます。
期首から毎月200,000円を積み立て、決算月で年払いに変更し前払いで2,400,000円を積み立て。
合計すると、200,000円×11か月+2,400,000=4,600,000円がMAXとなります。
4,600,000円の利益がゼロになるって結構中小企業ですとありがたいですよね。
翌期以降は決算月の年払いのみとなります。
もちろん注意点はあります
こんなすばらしい制度、最高じゃん!!と言いたいところですが、何点か注意点があります。
①積み立ての限度額が8,000,000円
つまり、いきなり4,600,000円積み立てると残りは3,400,000円しかありません。
MAX金額を積み立てていくと3期で限度額に到達します。
②解約した場合、返戻額が利益になる
あくまでも積立金ですので、解約すれば戻ってきます。(1年間は解約不可)
それが全額利益(益金)になってしまいます。
つまり、それに対して税金がかかるということです。
なんだよ、結局行って来いじゃんと言われそうですが、そうです(笑)
これを「課税の繰り延べ」と言って、要は課税される時期を後ろにずらしただけなのです。
ただし、解約する時期は自由ですので、赤字になりそうな時期や退職金を払ったりする時期を選んで解約すればその損失と相殺することができます。
ですので、ある程度タックスプランニングが必要になってきます。
納税を遅らせれば会社の資金繰りをよくする効果もありますので、課税の繰り延べがプラマイゼロというわけではありません。
◎編集後記◎
昨日は多数の著書も出版されている岐阜の税理士、牧口先生のセミナーに参加してきました。
参加者を引きつける講義と、斬新な内容に目からウロコの連続。
税金の計算だけで経営判断に役立つ会計情報を提供しないと、我々の存在意義の半分はないなと感じさせられました。