川崎市中原区元住吉オズ通り商店街の税理士、トノヤマです。
今日は3月14日。
弊事務所の確定申告業務も全件終了いたしました。
前年より継続してご依頼いただいたお客様、ならびに今年からご縁があってご依頼いただいたお客様、
本当にありがとうございました。
確定申告業務をやっている中で気づいたことなどは今後も記事にしていきたいと思っていますが、
今回はその一つ、とても重要な論点です。
Contents
青色申告決算書のフォーマットを使えば65万円控除できると思ってない?
いきなりタメ口ですみません(^_^;)
これですね。(画像はちょっと古いフォーマットのようです)
市役所などの無料相談でもこれを手書きで持ってきていただき、
「これで申告すれば青色申告ですよね?」という納税者の方がいらっしゃいます。
うっかり「はい」と即答するわけにはいきません。
なぜなら当たり前ですが、
青色申告の要件を満たさないと青色申告にならないから
です。
ですので、この青色申告決算書で提出すれば青色申告というのはヒジョーに危険です。
そもそも、青色申告の要件は?
国税のホームページにも記載がありますが、
要件は3つあります。
(1) 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
(2) これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
(3) (2)の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
です。
この記事で取り上げたかったのは(2)です。
それについて掘り下げていきます。
取引を正規の簿記の原則(複式簿記)により記帳していること
まずこれができているか。
複式簿記については、下記の市販の会計ソフトなどを使って入力すれば自動的に複式簿記にはなる仕組みです。
ただし、要件には注意書きがあって、そのうちの一つがこちらです。
現金主義によることを選択している人は、65万円の青色申告特別控除を受けることができない
現金主義とは、簡単に言うと
入出金をベースに取引を計上すること
です。
12月に仕事をし、請求書を1月あたまに発行。
その後、1月末に入金があったとします。
現金主義では1月の売上になります。
ただし、本来は12月に仕事をしている(=発生)ので、
青色申告の65万円控除を受けたいなら、
タイムリーに12月に売上を計上しなさいよということです。
例外的に現金主義も認められていますが、それも要件があり、別途申請する必要があります。
その手続きの上での実施となります。(マイナー論点なので詳細は割愛します)
ちなみに現金主義の場合、青色申告特別控除額が10万円にダウンしてしまいます。
帳簿を7年保存しなければならない
帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することとされています。
現在の法律では紙保存です。
これ結構抜けてる方が多いような気がしています。
もちろん税理士に依頼されている場合は問題ないとは思いますので、
あくまでご自身で確定申告されている場合です。
弥生会計であれば、仕訳日記帳、総勘定元帳をプリントアウトして
申告書や領収書・レシートなどといっしょに保存しておけばいいかと思います。
要件を満たさなかったらどうなるか?
青色申告の要件を満たしていないことが税務調査などで発覚した場合、
どうなってしまうのでしょうか?
場合によっては・・・
青色申告の取り消し
という事態になってしまいます。
そして、青色申告が取り消されるということは、
これまで青色申告で提出した申告書が白色申告とみなされる
ということになります。
すると65万円の控除もなくなりそれに対応する税額が追徴課税、
さらに延滞税や過少申告加算税、最悪の場合重加算税が
各年分に及んで課税されていきます・・・。
厳密にいうと、白色申告も帳簿保存の義務はありますが、
根拠がない売上や経費について、税務署の判断で課税されてしまいます・・・。
(こちらも反論ができないので・・・。)
要件を満たせないのなら有利な方で提出しない
ご自身で確定申告する場合、青色申告の要件を確実に満たすことができないのであれば
白色申告で提出した方が無難です。
青色申告が取り消されてしまうとということは
税務署からの信頼がなくなってしまっているので、
再度(または定期的に)税務調査が来る可能性も否定できません。
思い当たる方は過去の分も含めて、特に
(1)発生主義で経理しているか
(2)帳簿を保存しているか
確認してみてくださいね。