災害で被災した場合に使える消費税の届出に関する特例

川崎市中原区元住吉オズ通り商店街の税理士、トノヤマです。

 

まずは、西日本の豪雨災害で被害に遭われた方々にお悔やみ、お見舞い申し上げます。

 

僕の実家の岡山県もかなりの被害で、

雨や災害が少ない県として暮らしやすさをアピールするほどだっただけに

驚きを隠せません。

 

特に雨が降らずに節水をするということは過去にもありましたが、

まさか降りすぎるとは・・・。

 

総社市のアルミ工場が爆発した映像は戦争を想起するほどでした。

 

さて、今回のような災害があった場合に、

さすがの税法も杓子定規でなくてもいい特例が設けられています。

 

消費税法では、

①やむを得ない事情により課税事業者選択届出書等の提出が間に合わなかった場合

②災害等により簡易課税制度の適用を受ける(受けることをやめる)必要が生じた場合

の2つがあります。

 

以下で解説していきます。

ご注意
本記事の内容は投稿時点での税法、会計基準、会社法その他の法令に基づき記載しています。また、読者が理解しやすいように厳密ではない解説をしている部分があります。本記事に基づく情報により実務を行う場合には、専門家に相談の上行うか、十分に内容を検討の上実行してください。当事務所との協議により実施した場合を除き、本情報の利用により損害が発生することがあっても、当事務所は一切責任を負いかねます。

 

Contents

やむを得ない事情により課税事業者選択届出書等の提出が間に合わなかった場合

概要

消費税の課税事業者でない事業者でも

設備投資などをした場合に「あえて課税事業者を選択」することで

受け取った消費税(売上分)よりも支払った消費税の方が多いと還付を受けることができます。

 

課税事業者選択届出書は適用を受けたい課税期間の初日の前日までに出しておく必要があります。

 

でも、今回のような災害があった場合、税務署に届出書を提出することができないですよね。

特に7月決算の会社ですと、7月末までにそれどころではないはずです。

 

その場合、8月以降に「申請書」を提出し、税務署長の承認を受けることにより、

課税事業者選択届出書を適用期間の初日の前日までに提出したものとみなされます。

 

なお、課税事業者選択届出書だけでなく、課税事業者をやめたい場合の「課税事業者選択不適用届出書」、

簡易課税を適用したい「簡易課税制度選択届出書」「簡易課税制度選択不適用届出書」にも提出時期の特例が適用されます。

手続き

選択をしようとし、又は選択をやめようとする課税期間の初日の年月日、課税期間の開始の日の前日までに

これらの届出書を提出できなかった事情などを記載した申請書を、

やむを得ない事情がやんだ日から2か月以内に

所轄税務署長に提出することとされています。

 

なお、当該申請書と併せて、当該特例を受けようとする届出書を提出する必要があります。

災害等により簡易課税制度の適用を受ける(受けることをやめる)必要が生じた場合

概要

ずっと簡易課税制度の適用を受けていた会社が、今回のような災害があった場合に、

機械が壊れたりして新たに設備投資をすることが出てくると思います。

 

その場合、簡易課税制度では設備投資に係る消費税を控除することができません。

 

ですので、後出しジャンケンではありますが、

特例で本則課税制度を適用できるようになっています。

 

「簡易課税制度選択不適用届出書」の話ですが、「簡易課税制度選択届出書」についても同様です。

手続き

災害等のやんだ日から原則2か月以内に、災害その他やむを得ない理由、

これら災害等によりこの特例規定を受けることが必要となった事情等を記載した申請書

「災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書」

を納税地の所轄税務署長に提出します。

 

なお、当該申請書と併せて、消費税簡易課税制度選択(不適用)届出書を提出する必要があります。

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